アメリカで2009年2月17日に成立した景気対策法に盛り込まれた、国産品の優先購入を義務づけた条項。1933年の世界大恐慌下で、アメリカは政府調達や公共事業での自国製品や資材の優先使用を定めたバイアメリカン法(Buy American Act)を制定した。その後、世界的な協定との整合性を配慮してさまざまな修正が加えられたが、法律は残り、今回の条項は同法に沿った措置とされる。バイアメリカン条項は、アメリカ議会下院では、公共事業に使用する鉄や鉄鋼製品をアメリカ製に限定する条項であったが、上院では、鉄や鉄鋼製品以外の一般工業製品にも対象が拡大された。WTO(世界貿易機関)の政府調達協定は、物品調達で国内外企業を差別しない内容となっているため、同条項はWTO違反の疑いが濃厚とされて世界的な反発を引き起こしたほか、オバマ大統領も保護主義への懸念を表明した。上院はこれに配慮して、「国際的な協定の順守義務に違反しない方法で条項を適用する」との修正案を2009年2月4日に可決した。景気対策法は、上下両院案が一本化されて13日に修正法案が可決、上院案をほぼ踏襲したバイアメリカン条項を残したまま、17日には大統領が署名して成立した。