オーストラリアでたびたび発生する大規模な森林火災のこと。火災は、冬に大陸北部で、春から夏にかけて大陸南部へと移行して発生する傾向があり、特に夏季にあたる12月~2月には、エルニーニョ現象の影響などで激しく乾燥する南西部・南東部で頻発している。2009年2月7日、オーストラリア南東部のビクトリア州で発生した山火事は、17日時点で、死者200人以上、延焼面積36万5000ヘクタール(埼玉県に匹敵)以上を記録。1931年の「暗黒の金曜日」(71人が死亡)、83年の「灰の水曜日」(75人が死亡)を大きく上回るオーストラリア史上最悪の火災となった。ビクトリア州政府では、火災が起こった際、住民に電話や電子メールなどで避難勧告を伝える「早期警戒システム」の導入を急ぐと報じている。ブッシュファイアが発生する要因は、落雷や倒木による摩擦といった自然発火のほか、タバコのポイ捨てやキャンプなどでの火の不始末など、人為的発火がある。また、オーストラリア各地に分布するユーカリには油分が多く、揮発性の高さも火災が広がる一因となっている。しかし、植物のなかには火災の熱により種子を放出し発芽するものもあり、人間にとっては脅威となるブッシュファイアだが、オーストラリアの生態系の一部を担っているともいえる。