2009年10月9日、ノルウェーのノーベル賞委員会は同年の平和賞を、アメリカのバラク・オバマ(Barack Obama)大統領に贈呈すると発表した。アメリカの大統領経験者が平和賞を受賞するのは02年のジミー・カーター(James Earl “Jimmy” Carter, Jr.)元大統領に次ぐ。08年に史上初めてアフリカ系として選出されたオバマ大統領は、09年4月に「アメリカには核兵器を使用した唯一の国として、行動する道義的責任がある」とし、「核のない世界」を目指すと宣言。さらに9月の国連安全保障理事会の首脳級会合を主導し、「核兵器のない世界」に向けた取り組みをうたう決議宣言を全会一致で採択させた。ノーベル賞委員会は、「核のない世界」の実現を掲げ、国際紛争の解決を対話と交渉によってはかろうとしていることを授賞理由とした。しかし受賞には賛否があり、オバマ大統領はまだ何一つ実現してはいないとする意見の一方、「平和賞」は取り組み始めた「核のない世界」へのプロセスから後戻りさせないという意味で、大統領への側面援護であるとともに、非核化からの後戻りをはかろうとする勢力へのけん制の役割を果たすとの意見もある。ノーベル賞の物理学賞と化学賞と経済学賞はスウェーデン王立科学アカデミーが、医学・生理学賞はストックホルムのカロリンスカ医学研究所が、文学賞はスウェーデン、フランス、スペインの3アカデミーが、平和賞はノルウェーの国会選出の5人委員会が選考にあたる。