イラン南部のペルシャ湾岸ブシェールにできた、中東初の商業用原子力発電所。出力100万キロワットの軽水炉型で、1号機が2011年9月12日に稼働を開始した。ブシェール原発は1970年代半ばのパーレビ王政期に西ドイツ(当時)の企業が受託して建設を始めたが、79年のイラン革命や80~88年のイラン・イラク戦争などにより契約を破棄して中断。95年にロシアの支援によって建設が再開された。イスラエルやアメリカなどイランの核保有を危惧する国々に対し、ロシアが使用済み核燃料を引き取ることで原発建設が容認された。その後、2002年8月にイランによる核兵器開発疑惑が浮上し、国際原子力機関(IAEA)や国連安全保障理事会がウラン濃縮活動の停止を求めて警告や決議をたびたび行い、国際社会による経済制裁が行われて完成は大幅に遅れた。また、09年2月の施設完成後も、搬入した核燃料が取り出されたり、何者かによるサイバー攻撃などで、稼働延期が続いていた。