ノルウェー国会(ストーティングStorting)が選んだ5人で構成されるノーベル賞委員会は、2010年10月8日、10年のノーベル平和賞を、「中国での基本的人権確立のために長く非暴力的闘争を行ってきた」、中国の民主化運動家で獄中にある劉暁波(りゅう・ぎょうは)に授与すると発表した。中国大陸在住の中国人がノーベル賞を受賞するのは、分野を問わず初めてのこと。劉暁波は1955年、吉林省長春市に生まれ、アメリカのコロンビア大学客員研究員だった89年、民主化を求める学生や市民たちによる天安門事件(6月3~4日)で帰国し、広場を包囲した人民解放軍との交渉役などを務めた。事件後に投獄され、91年1月に釈放されたものの、その後も中国国内で民主化や人権を要求して、投獄されたり強制労働を科す収容所に入れられるなど、計4回にわたり拘束されている。2008年12月に、中国共産党の1党独裁を廃して民主的憲政に移行することを求めて303人の知識人らが署名した「08憲章」を起草。その件で10年2月、国家政権転覆扇動罪により懲役11年、政治権利剥奪2年の実刑を受けて服役している。中国当局は、中国の法律を犯した罪人に賞を与えた、と強く反発し、妻の劉霞さんが一時軟禁状態に置かれるなど、国際的評価に対して強硬な反応を示した。