広島と長崎で、原爆の被害を後世に伝えるために保存されている建造物のこと。広島市では、1993年に「被爆建物等保存・継承実施要綱」を定め、爆心地から5km以内に現存する建物を「被爆建物」として登録し、保存にかかる費用の助成を行っている。2007年11月現在で公共所有が22件、民間所有が68件の計90件が登録されている。代表的なものに原爆ドーム(旧広島県産業奨励館)、広島アンデルセン(旧帝国銀行広島支店)、平和記念公園レストハウス(旧燃料会館)などがある。建物以外にも、被爆した樹木(被爆樹木)が2km以内55カ所に約170本、被爆した橋梁(被爆橋梁)が5km以内に6橋あり、同様に登録・保存されている。長崎市では、有識者や被爆者団体などから構成される「長崎市原子爆弾被災資料協議会」が被爆建造物などの調査を行い、1998年に爆心地からおおむね4km以内133件の被爆した建造物や樹木、工作物などを「被爆建造物等」とし、被爆の度合いによってA~Dの4つにランク分けを行った。Aランクの「著しい被爆の痕跡がある、または当時の社会状況を特に強く示唆する」ものと、Bランクの「原爆の影響と痕跡がある」ものについては、同じく98年から開始された保存や修復の助成金制度の対象になった。「被爆の痕跡が希薄」のCランクと「被爆の痕跡がまったく認められない」Dランクについては対象外。08年12月現在、Aランク30件、Bランク25件を含めた132件が登録されている。Aランクには城山小学校(旧城山国民学校)、Bランクには立山防空壕(長崎県防空本部跡)などがある。