条約に基づいて構成されるヨーロッパ地域の政治・経済統合体で、本部はベルギーのブリュッセルにある。加盟国数は2013年クロアチアの加盟をもって28カ国となり、総面積は約423万4000平方キロ、総人口は約5億人。ヨーロッパを戦場とした2度にわたる戦争の惨禍を繰り返すまいと、1952年にフランス、西ドイツ(当時)、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ベルギーの6カ国によって設立された、欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)が前身。67年にECSCが欧州経済共同体(EEC)と欧州原子力共同体(EAEC)と統合して欧州共同体(EC)となり、さらに発展して93年にEUが発足した。加盟国間の関税撤廃や99年の単一通貨ユーロ導入など経済統合を進めるほか、旅券審査廃止による域内の自由移動や共通外交・安全保障政策など政治統合も進めている。2000年代に入ると加盟国はチェコやハンガリー、ポーランドなど旧東欧諸国にも拡大した。各国首脳などで構成される最高政治機関である欧州理事会(EU首脳会議)のもと、加盟国市民による直接選挙で議員が選ばれる欧州議会が民主的統制を、閣僚など加盟国代表で構成される欧州連合(EU)理事会が意思決定を担う。欧州委員会は政策・行政執行機関として法案提出権をもつ。2009年12月のリスボン条約発効により、EU大統領(欧州理事会常任議長)と同外相(外交・安全保障上級代表)が選出され、内外に統合の深化を示した。09年秋のギリシャ財政危機に端を発し、ユーロ危機が深刻化しているが、12年10月、ノルウェーのノーベル賞委員会によりノーベル平和賞の授与が発表された。