船舶の運航や事故などによる海洋汚染の防止を図る国際条約。正式名称は「1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書」で、78年に国際海事機関(IMO)で採択され、83年に発効した。マルポールはMarine Pollution(海洋汚染)の略で、マルポール73/78条約とも表記される。通称として海洋汚染防止条約と呼ばれることもある。油類や化学物質などの有害物質、汚水、廃棄物などによる汚染を規制対象とし、船舶の構造や汚染防止設備などの技術基準を定めている。さらに2011年7月の改正により、二酸化炭素の排出規制が追加された。13年以降に建造される船は、船舶の種類ごとに設定された二酸化炭素排出基準を満たすことが求められ、その基準は段階的に引き上げられる。すでに運航中の船舶も、省エネ運航計画の作成が義務付けられる。この規制により、何も対策を講じない場合に比べ2030年には約20%、50年には約35%の二酸化炭素排出量削減が見込まれる。その一方で、省エネ技術に強い日本の造船業界にとって追い風になるとも見られている。