2012年10月12日、ノルウェーのノーベル賞委員会は、同年の平和賞を欧州連合(EU)に授与すると発表した。授賞理由は、ヨーロッパの平和と和解、民主主義と人権の向上に対する60年以上にわたる貢献。団体の平和賞受賞には国連(01年)、国際原子力機関(IAEA 05年)、気候変動に関する政府間パネル(IPCC 07年)の前例があるが、地域機構の受賞は初めて。EUは、ヨーロッパでの2度の大戦を経て、歴史的な敵国同士だったフランスと西ドイツ(当時)など6カ国が、1952年に欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)を発足させたのが発祥。これが発展して67年に欧州共同体(EC)が創設され、93年にEUとして発足した。99年から中核国が共通通貨ユーロを導入、2002年にはユーロの流通が始まり、経済統合を推し進めている。2000年代に入ると、ハンガリーやポーランドなど旧東欧諸国も加盟して27カ国となり、13年には内戦を経験した旧ユーゴスラビアのクロアチアが加盟する。ノーベル平和賞はアルフレッド・ノーベルの遺言に従い、「国家間の友好、軍備の削減や廃止、平和会議の開催や推進のために最大・最善の貢献をした人物(団体)」に与えられる賞で、1901年に創設された。選考はノルウェー国会が任命した5人からなるノーベル賞委員会が行う。ノーベルの命日、12月10日に行われる授賞式では、金メダルと賞状が贈られる。ノーベルの遺産を原資とする賞金は1000万スウェーデン・クローナだったが、2012年から800万スウェーデン・クローナ(約9500万円)となった。