胃の細胞から分泌される、成長ホルモンの分泌を促進するペプチドホルモン。グレリンは、空腹時に分泌され、食べることで抑制される。成長ホルモンの促進以外にも、食欲の増進やエネルギー代謝の調節、心機能の改善などさまざまな生理作用にかかわっている。1999年12月に、国立循環器病センター生化学部のメンバーによって発見された。成長(grow)を意味するインド・ヨーロッパ語の基語であるghreとGH(成長ホルモン)放出ペプチド(GH-releasing peptide)に因んで名付けられた。2008年9月12日、国立循環器病センターのグループは、グレリンが急性心筋梗塞に伴う不整脈を改善する効果があることをラットの実験で確認したと発表。研究グループは、人工的に心筋梗塞を起こしたラットをグレリンを注射した群としない群とで比較した。注射しない群では6時間後の生存率が約30%、注射した群は75%だった。グレリンが不整脈を起こす交感神経系を抑制したため、不整脈が鎮静化したとみられる。心筋梗塞の有効な治療薬の開発につながると同グループでは期待している。