危険な自動車運転により、人を負傷もしくは死亡させた場合に問われる罪。2001年の刑法改正により新設された刑法第208条の2が定める。具体的には飲酒や薬物摂取等による正常でない運転、速度超過、技能を欠いた運転、強引な割り込みや追い越し、通行者への幅寄せ、信号無視などで、いずれも過失でなく、故意に人を死傷させた場合に成立する。死亡事故(危険運転致死罪)では「1年以上20年以下の懲役」、負傷事故(危険運転致傷罪)では「15年以下の懲役」が科せられる。改正以前には、業務上過失致死傷罪しか適用できず、罰則は、「5年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金」だった。これを厳しく処罰することで、交通の安全と被害者の減少を図ることを目的とする。ところが、12年4月23日、京都府亀岡市で18歳の無職少年が運転する軽乗用車が、集団登校中の小学生らの列に突っ込み、3人が死亡、7人が負傷する事故が起きた際、少年が無免許で居眠り運転だったにもかかわらず、京都地検は同罪の適用を断念。自動車運転過失致死傷などの非行内容で、同年5月14日に家裁送致した。無免許運転が常習だったことなどから、「運転技能が備わっていた」とみなされ、危険運転致死傷罪の構成要件に合致しないと判断した。また、無免許運転や居眠り運転は、道路交通法の対象となる。しかし、自動車運転過失致死傷罪の法定刑は「7年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金」。事故の大きさと刑の軽さとの差に、被害者及び被害者遺族の怒りや不満は高まっており、他の事故被害を受けた人たちとともに、法改正などを求める動きも現れている。