社団法人日本図書館協会が、1954年に採択した宣言(79年改訂)。宣言は、図書館の最も重要な任務を、「基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供すること」とした上で、図書館が資料収集・提供の自由を持つこと、利用者の秘密を守り、すべての検閲に反対することを表明。同種の宣言には、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「ユネスコ公共図書館宣言」(94年採択)などがあり、「知る権利」を保障する図書館の役割を明示したものとして知られる。一方、2007年5月に刊行された、16歳(当時)の少年による殺人放火事件を題材にした単行本について、一部の図書館が閲覧を中止していたことが判明。同書には、少年法が公開を禁じる供述調書を、著者が不法に閲覧、引用した疑いがあり、家庭裁判所や東京法務局が、著者と出版社に抗議、勧告を行っていた。図書館側は、閲覧中止の理由に「人権への配慮」をあげたが、閲覧の制限は「宣言」が反対する検閲につながるとして、図書館司書らの組織から批判声明が出されるなど、議論をよんだ。