経済的に困窮した世帯の生活安定や自立支援を目的に、都道府県の社会福祉協議会が生活資金を貸し付ける制度。1955年度に創設され、国(厚生労働省)が原資の3分の2、都道府県が3分の1を負担する。制度利用の窓口は、居住地域の民生委員か市町村の社会福祉協議会。貸し付けの対象として、困窮の状況などによって低所得者世帯、障害者世帯、高齢者世帯、失業者世帯の区分があり、低所得者世帯の場合、収入が少ないために市町村民税が非課税であることが条件となる。貸付資金には10種類あり、対象世帯や貸付限度額、金利、償還期間などが異なる。例えば、低所得者世帯を対象に就学に必要な経費を支援する「修学費」の場合、高校への就学に月3万5000円以内を、無利子、償還期間20年で貸し付ける。失業者世帯の生計を中心に担う者が再就職するまでの生活資金「離職者支援資金」の貸付条件は、月20万円以内を上限12カ月間、年利3%で償還期間は7年。生活保護や失業給付などを得るまでの一時的な資金としても位置づけられるが、2007年度末に約2065億円あった貸付原資に対して、貸付額は約967億円と半額に満たず、広く活用されているとは言えないのが現状。背景として、周知不足の他、連帯保証人を求められるなど審査の厳しさが指摘されている。こうしたことから、厚生労働省は利用を促す方向で制度を改定し、09年10月から実施すると表明。資金の種類を再編して利用しやすくし、保証人を原則不要とした上で最大3%の金利を1.5%に下げ、保証人がいれば無利子とする。