1992年3月に施行された「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(通称「暴力団対策法」、略称「暴対法」)(最終改正2011年6月)に定義される「暴力団」のうち、都道府県公安委員会が指定した暴力団を指す。構成員・準構成員合わせて約3万4900人の山口組をはじめ、住吉会、稲川会など、10年末現在22団体が指定されている。警察庁は、11年10月1日に東京都と沖縄県で暴力団排除条例が施行され、47都道府県で同様の条例が出そろったことを受け、社会に暴力団との関係を断つ動きが広がる中で、これを阻止しようと不当要求をしたり、報復のために銃撃や火炎瓶の投げ込みなどの危険行為を繰り返す暴力団から市民や企業を守るため、暴対法改正の方針を固め、同10月13日、その概要を発表した。これによると、企業などへの襲撃を繰り返す団体を、指定暴力団とは別の「特に危険な団体」(呼称は未定)に指定。実行犯が特定できなくても、関与した団体が判明した場合には、事務所の使用制限や、攻撃対象となる市民・企業周辺における組員の行動制限などを検討している。また、暴力団同士の対立抗争による周辺住民の巻き添えを防ぐため、抗争相手の居宅や療養先の病院等の周辺にも組員が近づかないようにする措置も検討する。さらに、住民が組事務所の立ち退き訴訟を起こす際には、報復を避けるため、都道府県の暴力追放運動推進センター等による訴訟代行なども視野に入れている。同庁では、10月28日より発足する有識者会議で検討を重ね、12年の通常国会での改正案提出を図る。