2012年7月11~14日にかけて九州北部地方で発生した記録的な豪雨の名称。正式名は「平成24(2012)年7月九州北部豪雨」。本州付近に停滞した梅雨前線に南から非常に湿った空気が流れ込み、広い範囲で雷をともなう非常に激しい雨となった。気象庁によると11日0時から14日24時までの4日間の雨量は、熊本阿蘇乙姫で最大1時間降水量108.0ミリ、最大24時間降水量507.5ミリと、観測史上1位を更新し、総雨量も816.5ミリを記録。統計期間10年間以上の観測地点では、阿蘇乙姫を含めて最大1時間降水量で7地点、最大24時間降水量で8地点が観測史上1位を更新する雨量となった。消防庁がまとめた7月20日現在の福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県の人的・住家被害は、死者29人、行方不明者3人、負傷者20人、全壊170棟、半壊210棟、一部破損126棟、床上浸水3650棟、床下浸水7047棟となり、26万8594人に避難指示、27万1510人に避難勧告が出された。土砂災害も、国土交通省の7月20日現在のまとめで、福岡県、佐賀県、熊本県、大分県では土石流等86件、地すべり4件、がけ崩れ45件など、135件が確認された。河川も矢部川水系矢部川で50メートルにわたり堤防が決壊したのをはじめ、白川水系白川、菊池川水系合志川など2水系4河川の10カ所、筑後川水系花月川など5水系13河川の81カ所で護岸崩壊を記録した。被害の大きさから、7月20日、野田佳彦首相は激甚災害への早期指定方針を表明した。