法務、外務、厚生労働、経済産業、国土交通の5省が共管する公益財団法人国際研修協力機構(JITCO)の支援により、諸外国の青壮年労働者を最長3年産業界に受け入れて、産業上の技能・技術・知識を修得してもらう制度。1993年4月に施行。当初最長1年の「外国人研修制度」と併用されたが、2010年7月、「出入国管理及び難民認定法(入管難民法)」の改正に伴い、2カ月間の講習期間を除く全期間で日本の労働関係法規が適用される現行制度に移行した。受け入れ方式により、国内企業などの実習実施機関が、海外の現地法人や合弁企業、取引先企業の職員を受け入れる企業単独型と、商工会や中小企業団体等、営利を目的としない監理団体が実習生を受け入れ、傘下の企業等で実習を実施する団体監理型に大別される。法務省によれば、11年末時点で約14万2000人の実習生が同制度により滞在。うち中国からは約10万7000人に上る。多くは地方の工場や農漁村などに派遣されるが、言葉の壁などによる人間関係の悩み、技術移転という名目での単純労働、さらには賃金不払いや暴行・脅迫・監禁、労働関係法規違反といった受け入れ機関の不正行為などにより、各地でトラブルが絶えないという。13年3月14日、広島県江田島市のカキ養殖業「川口水産」に雇われていた中国人実習生が、同社社長ら8人を殺傷する事件が発生。06年8月にも、千葉県木更津市の養豚場で、実習生が待遇面の不満から、受け入れ先団体役員を刺殺する事件が起こっている。