自分の体から出るにおいが、周囲の人を不快にしていると思い込み、社会生活に恐怖心を覚える神経症。自己臭症、自己臭恐怖症、体臭恐怖症ともいう。とりわけ多いのは、口臭、汗やわきがによる体臭、おなら臭などに対する悩みで、几帳面で潔癖な人ほどかかりやすい。家にいる時は気にならないが、教室、オフィス、電車、バスの中といった、人が集まる閉鎖空間だと感じやすいのも特徴。また、実際にはにおいを出していないのに、周囲の人が鼻や口を手で覆ったり、窓を開けるのを目にする、「くさい」という言葉を耳にするだけで、妄想症状に陥ることもある。人格は保たれたまま、不安な気持ちが何年も続くことがあり、重症化すると幻覚や幻聴も起こる。治療には心療内科、精神科、神経科を受診して、カウンセリングや精神療法、薬物療法を受けるのが一般的。ただし症状の出方によっては、統合失調症や不安障害と間違われることもある。