外来受診時に患者が支払う医療費の自己負担分に、別途100円程度の定額負担を上乗せする制度案。2011年6月30日に政府・与党社会保障改革検討本部がまとめた「社会保障・税一体改革成案」で、患者負担額に上限を設ける「高額療養費制度」の拡充に向けた財源確保策として打ち出された。同案では、上乗せ額について「高額療養費の見直しによる負担軽減の規模に応じて実施」とし、一例として「初診・再診時100円の場合1300億円」の財源が確保できるとしている。これを受けて、政府の社会保障審議会医療保険部会、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)などで検討が始まったが、患者負担が増すことから議論は紛糾している。9月23日、日本医師会など医療関連41団体からなる国民医療推進協議会は制度導入に反対の方針を表明した。なお、過去に議論された同じような仕組みに「保険免責制度」がある。これは受診時にかかった医療費を一定額まで保険給付の適用外(自己負担)とし、残額を医療保険の対象とするもの。医療保険でカバーする範囲を狭めるという点で、今回の受診時定額負担とは異なる。05年、財務相の諮問機関である財政制度等審議会が打ち出し、同年10月に厚生労働省が発表した「医療制度構造改革試案」にも盛り込まれたが、導入が見送られた経緯がある。