明らかな病死以外で、警察が取り扱う遺体の死因を究明する死因究明制度の基本理念や態勢などの見直しを目的とする法律。2012年6月15日、参議院本会議で可決、成立し、22日の公布から3カ月以内に施行される。民主党、自由民主党、公明党の3党による議員立法で、2年間の時限立法。07年に愛知県で大相撲の若手力士が死亡した際、当初は病死と判断されたが、遺族の希望で行政解剖されたことから暴行による外傷性ショック死と判明したのをきっかけに、犯罪死の見逃しや死因究明制度に対する議論が高まっていた。同時に可決され、2013年度から施行される「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律」(死因調査法)では、警察に届け出があった遺体の死因調査を警察署長の義務と明記し、現状では遺族が承諾しなければ解剖できないケースでも、必要と判断すれば解剖できるようにした。また、解剖しないケースでも、体液の薬毒物検査やコンピューター断層撮影(CT)調査ができるようになった。警察が扱う遺体は、犯罪性が強い場合には司法解剖、犯罪の疑いは弱いが死因不明の場合は行政解剖が行われるが、解剖医は全国に約170人しかいない。また、死因不明の遺体の解剖を行う監察医制度も東京区部や大阪市、名古屋市など一部にしかないため、11年の解剖率は約11%に過ぎない。病死や事故死と判断されながら、後に犯罪による死だったと判明した事例は、1980年から2009年までで43件あった。政府は、17年には解剖率を20%まで引き上げることを目標としている。