複数の抗菌薬に対して耐性を持つ緑膿菌のこと。緑膿菌は、湿潤な自然環境や生活環境、人間の腸内にも存在する常在菌で、健康な人に感染しても発症しない。しかし、高齢者や免疫力の低下した人などが感染すると、敗血症や肺炎など、重篤な症状を引き起こすおそれがある。多剤耐性緑膿菌(MDRP)の場合、発症すると除菌が困難なため、医療機関における予防対策の必要性が高まっている。感染症法では、いくつかの抗菌薬に耐性を示す緑膿菌による感染症を、「薬剤耐性緑膿菌感染症」として五類感染症に指定し、各地の医療機関を選定して、定点把握を行っている。