口腔内や食べ物に付いた細菌が食べ物といっしょに気管や肺に入ることで起きる肺炎。誤って食べ物が気管に入ってしまうことを誤嚥(ごえん)と言う。通常、食べ物や飲み物が食道を通る際、気管の入り口の喉頭(こうとう)のふたにあたる喉頭蓋(こうとうがい)が閉じるので、気管に食べ物が入ることはないが、食べ物を飲み下す力が弱まっている高齢者は誤嚥しやすい。さらに体力や免疫力などが落ちている場合は、誤嚥によって入り込んだ細菌が増殖し、細菌性肺炎を発症する危険性が高くなる。誤嚥性肺炎を予防するには、自分にあった入れ歯を使って食べる力が落ちないようにすること、歯磨きなどの口腔ケアで細菌を減らすことなどが効果的。1995年1月17日に起きた阪神・淡路大震災では、震災関連で死亡した922人中、24%にあたる223人の死因は肺炎であり、ほとんどが誤嚥性肺炎だったと言われ、大きく注目された。2011年3月11日に起きた東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)ではこの教訓から、日本歯科医師会と宮城県歯科医師会が避難所に歯ブラシを配って口腔ケアの仕方を説明するプロジェクトを実施している。