障害者の尊厳を守るため虐待を禁止し、虐待を発見した人には通報を義務づける法律。正式名称は「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」。2011年6月17日、参議院本会議で可決、成立した。施行は12年10月1日。同法では障害者虐待を、(1)養護者による障害者虐待、(2)障害者福祉施設従事者等による障害者虐待、(3)事業主など使用者による障害者虐待、の3つに規定し、虐待を(1)暴力や身体的拘束、(2)性的虐待、(3)暴言や拒絶などの心理的虐待、(4)著しい減食や放置、(5)財産の不当処分など経済的虐待、の5つに分類、定義した。虐待を発見した場合は市町村への通報を義務づけ、市町村には障害者虐待の対応窓口となる「障害者虐待防止センター」を、都道府県には「障害者権利擁護センター」の設置を義務づけた。虐待が重大な場合、職員は家族の許可がなくても立ち入り調査することができる。立ち入りを拒んだ場合は、罰則が科せられることも明記された。なお、学校や保育所、病院での虐待については通報義務の対象外となるが、その代わりに学校長や病院の管理者に虐待防止のための措置を義務づけている。