偏食や粗食などによって、主にたんぱく質とエネルギーが不足した状態。栄養不良の一種で、一般的には低栄養ともいう。毎食きちんと、満足量を摂取していてもかかる現代の栄養失調として、近年、問題視されるようになった。原因は食事量の減少、動物性たんぱく質(肉類、卵、油脂類)を苦手とする食事内容の偏り、ダイエットや健康維持が目的の極端な糖質・脂肪分の制限、病気や加齢による消化吸収力の低下など。こうした栄養素の摂取が足りないと、体力を維持するため、体内に貯蔵してあった糖質、脂肪、たんぱく質が順に代謝されて不足する。その結果、生活活動度の低下、体重減少、筋力の低下、免疫力の低下を招き、貧血や骨折、感染症のリスクが高まるうえ、心臓病や脳卒中なども起こしやすくなる。検査では、血清中のたんぱく質成分であるアルブミン値を指標とするが、0.1リットルあたり3.8グラム以下で低栄養予備軍、3.5グラム以下になると低栄養と診断される。とくに高齢者に多く、厚生労働省の研究では、入院や療養をしている高齢者の約3~4割に確認されている。