蚊(ヒトスジシマカやネッタイシマカなど)を媒介にして伝染するウイルス性疾患。高熱を発し、激しい関節痛を伴う。潜伏期間は4日から7日で、実際の発病は刺された人全体の約3分の1程度だといわれている。このチクングンヤウイルス(Chikungunya virus)はアルファウイルス(Alphavirus)に属し、アフリカのサルが自然宿主だと考えられている。致死率は0.1%と極めて低いとされているが、チクングンヤウイルス用のワクチンや特別な治療法はない。アフリカや南アジア、東南アジアなどの熱帯地域を中心に発生し、蚊が多く発生する雨期に流行する。チクングンヤとはスワヒリ語で「身をのけぞる」「前屈みになる」などの意味。2005年から06年にかけて、インド洋の仏領レユニオン島でチクングンヤ熱が大流行し、06年3月には感染者が18万6000人に達し、93人の死者を出した。また、近隣のモーリシャス島でも多くの感染者を出している。08年8月にはシンガポールやマレーシアへも感染が拡大しており、ヒトスジシマカは日本にも生息していることから、感染地からの帰国者を介しての日本へのウイルス潜入が懸念される。