強毒性のH5N1鳥インフルエンザ等が、人・人感染のウイルスに変異し、新型インフルエンザとなった場合に備え、厚生労働省が作ったマニュアル。世界保健機関(WHO)の世界インフルエンザ事前対策計画(global influenza preparedness plan)に準じて、2005年12月にまとめられ、09年2月に4度目の改定が行われた。主な目的は、感染拡大を可能な限り抑制し、健康被害を最小限にとどめ、社会・経済を破綻(はたん)に至らせないこと。そのため国、都道府県、市区町村、社会機能の維持にかかわる事業者、一般の事業者、国民にそれぞれ役割分担を振り分けている。また、非常事態下での意思決定を迅速化するため、5段階の対策レベルを設けて行動計画を策定。(1)前段階(未発生期)では医薬品備蓄や発生の早期確認に努める、(2)第1段階(海外発生期)では情報を集めつつ、水際対策などでウイルスの国内侵入を防ぐ、(3)第2段階(国内発生早期)では医療体制を確立し、学校等の臨時休校や集会・外出の自粛要請で感染拡大を抑える、(4)第3段階(感染拡大期・蔓延(まんえん)期・回復期)では医療・支援体制の強化と公衆衛生対策を行う、(5)第4段階(小康期)では社会・経済機能の回復を図る。09年5月の新型豚インフルエンザ国内感染で、政府は09年5月16日に対策レベルを第2段階まで引き上げたが、その後の状況見直しで緩和措置をとり、第3段階への引き上げは見送った。