食用塩公正競争規約は、食用塩を対象に消費者が求める正しい情報を提供するための表示ルールのこと。食用塩の製造・販売関係事業者を会員として組織された食用塩公正取引協議会が設定し、2010年4月21日に完全施行された。公正マークは、この規約に合格した協議会員の商品に付けられる、正しい表示であることを示すシンボルマーク。食用塩は1997年の専売制廃止や、2002年の販売自由化などにより参入業者が急増したが、製品表示・安全基準が未整備だったため、「健康によい」などの根拠のない表現や商品の優良性を誤認させる表示・宣伝がエスカレートした。そのため、誇大宣伝から消費者を守る目的で規約が策定され、08年に公正取引委員会から認定告示された。商品だけでなく、広告類やホームページなどにも適用される。規約は、特定の用語の使い方、不当な表示の定義、表示方法などを細かく規定。用語の使用基準では、「自然塩」「天然塩」「ミネラル豊富」など、体によい、健康・美容によいなど優良性を連想させる用語、根拠のない「太古の塩」「古代」「最古」表示、同じく根拠のない「最高」「最適」などが禁止された。また、日本農林規格(JAS)法に基づく名称、原材料名、内容量、原産国名、製造者に加えて、原材料の種類と産地、塩ができる工程を記した製法表示が義務化され、原材料は海水、海塩(天日塩など海水原料の塩)、岩塩、塩湖に区分され、製法は天日、イオン膜、結晶、粉砕、乾燥、混合、焼成、平釜など、用語と書き方が決められた。たとえば、原材料名に海水(○×県)、工程に天日、平釜とあれば、○×県の海水を天日濃縮、平釜で結晶させた塩を表す。海洋深層水を表記する場合は、採水地、使用割合が明記される。塩化ナトリウム以外25%以上の純度の低い塩は「低ナトリウム塩」表示に、栄養成分表示、注意書きが記載される。ごま塩、塩こしょうなど食品や香辛料入りの塩は規約の対象外となる。