住民票に登録された住所に居住の実態がなく、所在が不明となっている高齢者の問題。2010年7月28日に、東京都足立区で戸籍上は都内男性最高齢111歳の男性のミイラ化した遺体が発見され、続いて、東京都杉並区で都内最高齢113歳の女性の所在不明が判明した。これをきっかけに、全国の自治体で職員の訪問などによる100歳以上の高齢者の所在確認が行われた結果、次々と「消えた高齢者」の存在が明らかになり、高齢者不明、不明高齢者、所在不明高齢者などとして、大きな社会問題となった。自治体職員による訪問確認は、法的な権限がなく個人情報にかかわる部分もあって限界があり、厳密な調査は難しいとされる。しかし、報道機関各社の独自の調査・集計によれば、全国の100歳以上高齢者の所在不明者数は、190人(毎日新聞8月11日現在)、279人(朝日新聞8月12日現在)、281人(日本経済新聞8月14日現在)、242人(読売新聞8月14日現在)と、多数にのぼることが判明した。また、まだ調査中の自治体もあることから、不明者数はさらに増える可能性も高い。所在不明の高齢者が生まれた原因には、実際に死亡したり行方不明になっていても自治体がその事実を把握していない場合、死亡や行方不明の事実を自治体側が認識していてもその情報が必要な部署で共有されていない場合、自治体が家族から捜索願が出されているなどの事実を把握していない場合、などがあるとされる。