「何を食べるか」「どれくらい食べるか」だけでなく、「いつ食べるのか」という時間軸を重視する栄養学。人間の体内時計に関する研究が進み、同じ内容の食事でも、摂取するタイミングで栄養素の吸収率などに違いがあることがわかってきたため、近年注目を集めている。たとえば、一般的に「夜食は太る」といわれるが、県立広島大学の加藤秀夫教授らによれば、遅い時間帯の食事は、栄養素が筋肉の合成に使われず脂肪として蓄積されるため、実際に肥満の原因になるという。また、骨が吸収するカルシウム量は夜間に増えるので、骨の形成には牛乳を夕方から夜にかけて飲むのが効果的としている。このほか、塩分の尿排泄は朝や昼より夜が多いことから、減塩食では夕食の塩分制限を比較的ゆるやかにできる、食事自体が体内時計を調整する役割を果たしている、などの報告がある。こうした知見を生活習慣病の予防や治療、体づくり、ダイエットなどに生かすことが期待されている。