南極大陸とその周辺海域の環境を保護するため、南極での活動について規定した法律。正式名称は、南極地域の環境の保護に関する法律。1991年に採択された「環境保護に関する南極条約議定書」に基づく国内法として、98年に施行された。同法によって、南極地域(南緯60度以南の陸域、海域)に上陸する際には、調査、観光など目的を問わず、環境大臣に活動計画の確認を申請することが義務づけられている。活動計画は専門家によって審査され、南極の環境への影響が懸念される場合には、影響の測定と報告を求められる。違反者には、50万円以下の罰金か、6カ月以下の懲役が科される。2008年1月に南極最高峰のビンソンマシフに登頂した男性登山家と、南極点に到達した女性登山家の2人の日本人が、届け出義務に違反していたことが判明。2人はアメリカで南極上陸の許可を得ていたが、外国の許可を得ていても環境大臣への届け出が必要なことを知らなかった。鴨下一郎環境相は、法律の周知不足を認めた上で、2人に悪意はなかったとして、罰則を科さない意向を示した。同法はほかに、南極の動植物の保護、犬ぞり用の犬を含む生物の持ち込み禁止、し尿など廃棄物の処分等について定めている。