部位の異なる牛肉の切れ端や内臓を混ぜ合わせたものに、たんぱく質や脂肪を注入するなどして形を整えた肉。乳牛など肉質の良くない牛の肉を食用にする際に、成型肉として処理することが多い。輸入牛に和牛の脂肪分を注入して、霜降りの状態に処理した肉も含まれる。成型肉そのものは違法ではないが、混ぜ合わせる際に菌が混入する可能性があるため、販売時には「飲食に供する際にその全体について十分な加熱を要する旨」などを表示することが、食品衛生法施行規則第21条で義務付けられている。また、スーパーの店頭などで販売する際には、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)の原材料表示義務の対象となる。しかし、外食産業については対象外となるため、成型肉であることを明確に表示していない店も少なくない。2009年9月には、二つのステーキチェーンで病原性大腸菌O-157による食中毒が発生し、20人以上の被害が出たチェーンについて成型肉が原因だったことが判明。岐阜県の卸元に対して県は商品回収を命じた。同9月15日には、客が自ら肉を加熱する方式をとる同チェーンが客への十分な案内を怠っていたとして、厚生労働省が都道府県などに対して、成型肉を扱う飲食店への加熱処理の指導を徹底するよう通知を出した。通知では、肉の中心部を75度で1分間以上加熱するよう指導することなどを求めている。