賃貸契約を継続する際に借り主が支払う更新料をめぐる訴訟。更新料は、1960年代ころから、主に首都圏や京都などの都市部において慣習化したとされる。高度経済成長で地価が高騰し、家賃と地価との差額を埋め合わせるために導入されたものともいわれる。地域によって慣習化していない場合もあり、法的な根拠や経済的な合理性が問題とされてきた。また、借り主は、更新料についての情報量などにおいて不利な立場にあるとし、契約時の説明不足なども問われて、訴訟が相次いでいた。2009年7月、京都地方裁判所が、更新料契約を無効とする初の司法判断を下し、全額返金を命令。翌8月、大阪高等裁判所の別件の更新料訴訟でも、無効判決が下された。いずれも契約無効の根拠となったのは、01年4月に施行された消費者契約法。同法では、消費者の利益が一方的に損なわれる場合、契約を無効にすると定められている。11年7月15日、更新料に対する同法の適用を巡る上告審で、最高裁判所は、賃料や契約更新期間と比べて高額すぎる事情がなければ、更新料は有効であると判断。判決では、契約書に具体的に明記され、家主と借り主との間に合意がある場合、情報量などにおいて双方に格差はみられず、借り主の利益を一方的に損なうものではないとされた。また、更新料には、家賃の補充や、契約継続のための対価などの性質があるとし、経済的な合理性も認められた。