体内の水分量が、正常値を下回って不足した状態。また、それにともなって現れる体の異状のこと。脱水症状ともいい、熱中症の最大原因とされている。(1)水分を十分にとらなかったり、過度の発汗、多尿などで水分だけが多く失われる高張性脱水症(水欠乏)、(2)大量の嘔吐(おうと)や下痢、腎臓の病気などで体液中の電解質が多く失われる低張性脱水症(塩類欠乏)、(3)水分と電解質が同等に失われる等張性脱水症の3種類に分けられる。高張性脱水症の場合、体重の2%程度の水分が失われることで、強いのどの渇きや尿量の減少、食欲減退などが現れる。症状が進むと、皮膚粘膜の乾燥や衰弱が起こり、重度になると精神障害を招く。低張性脱水症では、のどの渇きこそないが、脱力感や眠気、倦怠感などが現れ、重度になると嘔吐やけいれんを起こして昏睡状態に至る。いずれも最悪の場合は、死亡する危険性がある。軽症のうちは、スポーツドリンクや少量の塩を加えた水を与えると改善するが、重症の場合は医療機関での点滴治療などを要する。