警察、検察による被疑者や被告人の取り調べを、録音・録画すること。日本の刑事訴訟制度では、弁護人が取り調べに立ち会えないため、取調官が被疑者らを威圧したり、強引に自白調書を作成したりする例が後を絶たず、冤罪を生む温床となっている。また、取り調べで「自白した」被告人が、自白を強要されたとして法廷で無罪を訴えた場合、自白調書の信憑性に客観的な証拠がないことから、裁判が長期化する要因ともなる。「被疑者らが真実を話さなくなる」として、警察、検察は可視化の導入に消極的だったが、2009年に施行予定の裁判員制度では、一般市民にも判断可能な、客観的な証拠が求められることから、06年5月に、最高検察庁は方針を転換。検察官の取り調べに限って録音・録画を試験的に導入することを表明した。07年現在、東京、大阪、名古屋などの地方検察庁で、裁判員制度の対象となる重大事件の一部について実施している。07年11月には、取り調べを収録したDVDの内容に基づいて、自白を証拠として採用しないことを、全国で初めて大阪地方裁判所が決定。ただし、試験導入の制度では、取調官が必要と判断した場合に録音・録画を行うとしており、意図的な編集が可能なことから、日本弁護士連合会などが、取り調べの全過程の記録を求めている。