遺伝子組み換え生物(LMO ; Living Modified Organism)が生態系に被害を与えた場合の対応を定めた国際協定。2010年10月11~15日に愛知県名古屋市で開催された「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」(カルタヘナ議定書)第5回締約国会議(COP-MOP5)で採択された。内容は、遺伝子組み換え生物を輸入した国の生態系や人の健康に悪影響が出た場合、締約国は輸出にかかわった企業や事業者に対し原状回復や賠償措置を要求できること、事業者ができない場合は政府が代執行すること、などが明記されている。対象となるのは、遺伝子組み換え生物そのものによる被害に限定され、調味料や加工食品など手を加えたものは適用外。補足議定書の名称は、交渉が開始されたCOP-MOP1開催地のマレーシアの首都クアラルンプールと、採択が行われたCOP-MOP5開催地の名古屋にちなんで命名され、正式には「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済についての名古屋・クアラルンプール補足議定書」(Nagoya-Kuala Lumpur Supplementary Protocol on Liability and Redress to the Cartagena Protocol on Biosafety)という。環境関連条約・議定書で、日本の都市名が付くのは1997年採択の「京都議定書」以来となる。