医療行為の対価である診療報酬のうち、診察、治療、各種指導といった、医師の技能や仕事量を評価したもの。アメリカでは医師が技術料の名目で、患者や保険会社に直接請求している。それ以外の看護師や事務職員の人件費、施設使用料、薬品代などは、ホスピタルフィー(hospital fee)として別に支払う。かつてドクターフィーは、医師が慣例的に妥当と思う金額を勝手に決めていた。しかし地域や診療科、医師によるばらつきが問題となり、1992年、高齢者と障害者のためにアメリカ政府が運営する医療保険制度のメディケア(medicare)が、診療報酬支払相対評価スケール方式(RBRVS)を導入して、適正評価額を出すようになった。算定には作業時間、肉体・精神的労力、技術力、地域格差などのほか、医療過誤による賠償責任に備えた保険料も考慮される。2009年12月、日本の中央社会保険医療協議会(中医協)は、10年の診療報酬改定に向けた小委員会で、ドクターフィー導入についての議論を行った。ただし実現には、健康保険法の改正が必要なため、10年度からの実施は難しいと見られている。