乳幼児や小児によく見られる、急性ウイルス性感染症。原因は腸管で増殖する数種類のエンテロウイルス群で、コクサッキーA群16(CA16)とエンテロウイルス71(EV71)が主流だが、変異型が流行する年もある。飛沫または経口感染で、成人にもうつる。発症すると手のひらや足の裏、指、ひじ、ひざ、尻、口中に水疱性の発疹が現れる。症状には個人差があり、かゆみや微熱を伴う場合もある。また口中の発疹は潰瘍になりやすく、その際は食物や水などがしみて痛む。潜伏期は3~5日。急性期にできた米粒~小豆大の水疱は、2~3日で褐色の斑点に変化し、5~6日後に消失する。ただし、回復後も2~4週間は便からウイルスが排出され、感染源となるので注意。有効な治療薬やワクチンはなく、抗ヒスタミン剤や解熱剤などで症状を和らげる対症療法を行う。最近の日本では1985年、88年、90年、95年に大流行した。通常、夏を中心に流行するが、2010年は3月から患者が急増し、とくに中枢神経合併症などで重症化率が高いEV71ウイルスの報告が8割を占めることから、国立感染症研究所が注意を呼びかけている。