腎臓の機能が低下する、腎不全という病気の治療法の一つ。腎臓の代わりに、体内の老廃物や余分な水分を人工的に除去するもので、末期的な腎機能障害により生命維持が困難な場合に行われる。大きく分けて血液透析(hemodialysis ; HD)と腹膜透析(peritoneal dialysis ; PD)の2つの方法があり、日本では血液透析が圧倒的に多い。血液透析は、人工腎臓ともいい、腕の血管から血液を体外に引き出し、ダイアライザー(dialyzer)と呼ばれる円筒状の装置で濾過(ろか)・浸透させ、浄化して元に戻す方法。週に2~3回、透析施設に通って行う。1回の透析時間は約4時間。治療を始める際には、血液を引き出しやすくするため、腕の静脈に動脈をつなぐシャント手術(shunt)を受ける。腹膜透析は、腹部のすき間(腹腔)に透析液を入れ、腹膜の作用で老廃物や水分を取り除く方法。通常は連続携行式腹膜透析(continuous ambulatory peritoneal dialysis ; CAPD)という方式がとられ、1日4~5回の透析液交換を要するが、患者本人や介護者が自宅でも施せる。通院は月に1~2回。治療を始める際には、腹部に挿入管を植え込む手術を受ける。どちらの人工透析も、腎臓移植など別の治療を受けない限り、ほぼ一生続けなければならない。日本透析医学会の統計によると、国内の慢性透析患者数は2009年末には約29万人にのぼり、毎年1万人のペースで増加傾向にある。