新型インフルエンザのウイルスになる可能性が高いとされる鳥インフルエンザウイルスH5N1型から製造したワクチンのこと。効果の高い新型インフルエンザ用ワクチン(パンデミックワクチン)は、実際に新型インフルエンザが発生してからでないと製造できず、国民全員分を製造するには半年から1年半の期間が必要とされている。そのため、新型インフルエンザの流行前に接種することで基礎免疫効果が期待できるプレパンデミックワクチンの製造が世界各国で行われている。日本では、ウイルスの変異を考慮して数種類のウイルス株からワクチンを製造しており、2006年にベトナム株とインドネシア株から各500万人分、07年に中国の安徽(あんき)株から1000万人分、08年に中国の青海株から1000万人分を製造、計3000万人分が備蓄されている。主に医療従事者や社会機能の維持にかかわる人への接種が想定されている。09年4月、プレパンデミックワクチンの安全性や有効性を調査している厚生労働省研究班は、08年に約6000人の医療従事者などに接種した大規模臨床研究の結果、ワクチン接種による副作用に大きな問題はなく、種類の違うワクチンを時間をおいて接種することでさらに効果が高まるなど、事前接種の有効性に期待ができると発表した。