水銀の市場取引や製品の製造などを規制する国際条約の名称。水銀の人体や環境に対するリスクを低減するため、国連環境計画(UNEP)の主導で、2007年より話し合いが進められてきた。13年1月19日、ジュネーブで開催されていた条約制定のための「水銀条約政府間交渉委員会」で、世界約140カ国が条文案の内容に合意。同年10月に熊本県で開催される国際会議で採択される予定となっている。条約名は、日本が水俣病の教訓から提案したもので、各国に了承された。条約の主な内容は、次のとおり。(1)発効後、水銀生産のための鉱山開発は禁止、既存の鉱山については15年以内に禁止、(2)水銀の輸出入は金属水銀に限定。輸出は条約で定められた用途に限り、不正使用を防ぐため、輸入国の同意が必要、(3)電池、せっけん、蛍光灯、化粧品、殺虫剤、非電化の血圧計などの計測機器など、9品目の製造・輸出入を20年までに禁止、など。なお、条約発効には50カ国の批准が必要なため、UNEPは16年の発効を目指す。