ウイルスの増殖を抑えることによって、インフルエンザを治療する新薬。オリジナルはアメリカのバイオクリスト社が、筋肉注射薬として開発したが、2007年3月に塩野義製薬が開発・商品化のライセンスを取得。日本では点滴静注式の医薬品として、独自に開発が進められている。基本的な作用は、すでに実用化されているタミフルやリレンザと同じで、A型およびB型インフルエンザのウイルスが、感染者の体内で細胞から細胞へ伝播していく際に必要な、ノイラミニダーゼという酵素の働きを妨害し、ウイルスの増殖力をなくしてしまう。そのため、09年に発生した新型インフルエンザA-H1N1、季節性インフルエンザ、高病原性鳥インフルエンザH5N1のいずれにも効果がある。C型インフルエンザにだけは効かない。09年に日本、韓国、台湾で、1099人の季節性インフルエンザ患者を対象に行った臨床試験(治験)では、ペラミビルを1回点滴投与して回復するまでにかかる時間が、タミフルを5日間飲み続けた場合と、ほぼ同じであることが判明。基礎疾患などのハイリスク因子をもった患者も、短時間で回復し、副作用の発現率もタミフルに比べて低いことが確認された。10年秋の発売をめざしている。