乳幼児が38度以上の熱を出した際に起こす、けいれん発作(ひきつけ)のこと。乳児および小児がかかる、けいれん性疾患の中では最も一般的なもので、日本人の場合は生後6カ月~5歳児の約1割が経験する。発症のメカニズムなどは未解明だが、遺伝性疾患であることが判明している。症状は、手足を硬く突っ張る強直性けいれん、または筋肉の緊張と弛緩を繰り返す間代性けいれんとして出現し、眼球の上転、意識の消失などをともなう。大部分は経過が良好な単純型で、10~15分で発作はおさまり、24時間以内に再発することもなく自然治癒する。ただし、全体の3~4割に見られる複雑型の場合、(1)体の片側だけがけいれんする、(2)発作が15分以上続く、(3)短期間のうちに再発しやすい、などの特徴があり、まれに側頭葉てんかんという難治性の後遺症が残ることもある。2012年7月、東京大学大学院の池谷裕二准教授らの研究チームは、熱性けいれんを発症させた幼若ラットが、成長後に側頭葉てんかんを発症する仕組みを実験で再現。脳の海馬領域に生じる発達異常が一因であるとし、利尿薬ブメタニドによる予防効果も発見した。