自然のダムのような働きをする森林のこと。森林は、山崩れを防ぎ、雨水や雪解け水を地中に浸透させ、水をきれいにする働きがある。大雨が降ったときには、一時的に水を貯め、一度に川に流れ出ることを防ぐ。このような洪水や渇水を緩和する働きのある森林を、人が造った「コンクリートのダム」に対して、「緑のダム」と呼んでいる。「緑のダム」への関心は、大型公共事業への批判や、環境問題への意識の高まりが背景にある。民主党は2000年11月に、「公共事業を国民の手に取り戻す委員会」で、「新しい河川政策=緑のダム構想」を発表。そのなかで、「21世紀を迎えるにあたって私たちは、過去の河川行政の誤りを反省し、また外国などの経験を踏まえ、新しい河川政策に取り組むべきである。それには河川行政の目標を『コンクリートのダム』から『緑のダム』に切り替えなければならない」と明言。09年11月17日には、前原誠司国土交通相が記者会見で、農林水産省と連携して、「緑のダム法案」を国会に提出する考えを示した。