心臓が痙攣(けいれん)して、小刻みに震えることを細動といい、細動が起こると心臓はポンプの機能を果たさず心停止となり、血液循環がなくなる。心臓に電気的な刺激を与えて、震えを停止させることを除細動(細動を取り除く)といい、特別な知識のない一般の人でも、除細動が行える装置が、AED(自動体外除細動器)である。心停止状態では、脳や全身は深刻なダメージを受け、1分間ごとに7~10%ずつ蘇生の可能性が失われるが、早期除細動で救命できることもある。しかし、医師法17条では医師以外の者の医療行為を禁じており、AEDの使用も医師・看護師・救急救命士のみに許され、一般人の使用を禁じていた。2004年7月、厚生労働省の医政局長の通知(医政発第0701001号)により、一般市民(非医療従事者)による、AEDの使用が条件付きで可能となった。公共施設など人が多く集まる場所を中心に、AED配備の普及が図られつつある。AEDには、装置自体に診断機能があるため、使用法が簡便であることから、救命の手段としてきわめて効果的な装置であるとして、実績が示されている。