ガンマ線やベータ線などの放射線を出す放射性同位元素(ラジオアイソトープ= RI)を薬剤として体内に入れ、その放射線を腫瘍(しゅよう)などの病巣に浴びせて破壊する治療法。アイソトープ治療とも呼ばれる。代表例として、放射性ヨウ素(ヨウ素131)を経口薬として用いる甲状腺がんや甲状腺機能亢進症(バセドー病)の治療がある。ヨウ素は甲状腺ホルモンの原料となる元素で、通常は海藻などの食物から摂取されて甲状腺に取り込まれる。放射性ヨウ素も同様に、体内に投与されると甲状腺細胞に集積するため、ガンマ線とベータ線が甲状腺細胞の病巣だけに浴びせられることになる。抗がん剤が正常な細胞にも影響を及ぼして副作用を引き起こしやすいのに対し、RI内用療法は副作用の軽さを大きな特長とする。放射性ヨウ素のほか、悪性リンパ腫の治療にイットリウム90、がんの骨転移による痛みの緩和にストロンチウム89を注射薬として用いる方法などがある。