乳がんの新しい検査法で、全身のがん検査などに用いるPET(陽電子放射断層撮影)を応用したもの。がん細胞は正常細胞より多くのブドウ糖を取り込むことから、PET検査ではブドウ糖と放射性物質を結合させた薬剤を注射、薬剤が集まった部位(放射線の出ている部位)を読み取りがんの病巣を調べる。PEMもこれと同じ原理だが、全身を撮影するPETと違い、2枚の放射線検出器で乳房を軽く挟んで至近距離から撮影するため、より明瞭な画像が得られる。乳がん検査ではX線を使うマンモグラフィーが普及しているが、乳腺組織とがん細胞の見分けが難しいケースがあるほか、撮影時に乳房を強く挟むため痛みを伴うこともあり、新たな選択肢としてPEMに注目が集まっている。アメリカでは日本の厚生労働省に相当するFDA(食品医薬品局)がPEM検査機器に承認を与えており、日本でも2010年に横浜市内のクリニックが導入、近隣の大学とともに国内の承認へ向けた臨床研究を進めている。