在宅で療養する患者の求めに応じて、24時間を通して往診や訪問看護が可能な体制を備えた診療所で、2006年度の診療報酬改定により新設された制度。在宅には自宅のほか、老人ホーム、特別養護老人ホーム、グループホームなども含まれる。在宅療養支援診療所は、24時間体制で臨む担当医や看護職員の氏名・連絡先を文書で患者宅に提供し、24時間体制で対応が可能な、近くの病院や訪問看護ステーションと連携し、患者の急変に備えて緊急入院先を確保しておく必要がある。さらに、在宅看取(みと)り数を報告するなどの条件を満たして、社会保険事務局に届け出れば、在宅療養支援診療所と認められ、各都道府県では9505施設(全国診療所9万7000施設中)に上る(06年10月現在)。かつて日本では、在宅で看取られて死亡する(いわゆる「畳の上で死ぬ」)ことが8割を占めたが、近年では病院で死亡するケースが大半を占める。病院における慢性疾患患者や、終末期医療(ターミナルケア)の医療費を抑制する目的と、患者にとっても住み慣れた自宅で死を迎えることを可能にする制度であるが、多くの支援診療所では複数の医療職員で対応する態勢には程遠く、十分な医療職員の確保が急務の課題となっている。