犯行現場に被疑者が残したと見られる血液や体液、毛髪などを遺留資料と言うが、遺留資料のDNA型記録と、個人もしくは不特定の者のDNA型記録とを照合して被疑者の検索、もしくは身元不明の場合には本人照会の検索を行うシステム。一卵性双生児の例を除けば、遺伝情報のDNA分子の塩基配列や順序は、種や個体によって異なることから、個体識別を科学的に行う有力な方法として、既に確立している。警察では、DNA型鑑定を1989年から捜査に導入しているものの、当初は精度が低く補助的な役割であったが、現在では4兆7000億人から1人を見分けることができるほど、精度は飛躍的に向上している。2003年より機械分析が導入され、06年のDNA鑑定件数は1万1819件にも上る。DNAデータベースは、犯行現場から採取された遺留資料情報データベースと、過去に採取した被疑者情報データベースで構築されており、被疑者の余罪照会、同一犯行の照会、遺留照会を行うことができる。1994年1月に大阪のホテルで起きた強盗殺人事件で、犯行現場に残されたDNAと、2007年11月末に女児の下着を民家に投げ捨てて、逮捕された容疑者のDNAが、DNAデータベースにより、同一犯行照会で一致した。このため、時効まで1カ月を残す07年12月に大阪府警察は、強盗殺人の容疑でこの容疑者を再逮捕した。