口、肛門、膣など、体の開口部からチューブ状の内視鏡を腹腔内に入れ、遠隔操作によって患部を治療する新しい手術法。体表部に大きな傷を残さず、痛みなど患者の負担が少なくてすみ、術後の回復も早いといったメリットをもつことから低侵襲手術とも呼ばれる。NOTESは2004年にアメリカで報告され、消化器内視鏡学会(ASGE)および消化器内視鏡外科学会(SAGES)で構成された委員会NOSCAR(Natural Orifice Surgery Consortium for Assessment and Research)によって研究・審議が行われている。日本では08年8月13日、大阪大学医学部付属病院が、初めてNOTESを導入した臨床手術を実施。女性患者の膣壁に約1cmの穴を開けて内視鏡を挿入し、胃下部にできた約3cmの腫瘍の切除に成功した。その際、患部などの確認のため、腹部を約1cmずつ2カ所切開している。通常の開腹手術では、約15cmの皮膚切開が必要。将来的には、皮膚切開を一切必要としない腹部手術も可能になるだろうと期待されている。