地震で被災した建築物に対して、その後の余震などで倒壊や窓ガラス・外壁の落下、付属物の転倒が起きないかどうかの危険性を判定して、二次災害の発生を防止するための制度。地震後、できるかぎり早く短い時間で被災状況を調査し、当面の使用の可否などを判定する。地方自治体などが実施し、判定は建築の専門知識をもった応急危険度判定士(東京都は応急危険度判定員)があたる。判定結果は、建築物の居住者や通行者にも見やすい場所に、緑地に調査済、黄色地に要注意、赤地に危険と書かれたステッカーで表示される。応急危険度判定の方法は、日本では1985年に建設省の総合技術開発プロジェクトで開発され、91年に日本建築防災協会が使いやすい普及版を被災度判定基準・復旧技術指針としてまとめなおした。全国に普及したのは95年の阪神・淡路大震災以降で、98年には応急危険度判定マニュアルとしてまとめなおされている。また、全国的な実施体制の整備を目的として、96年には全国応急危険度判定協議会も設立された。2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)でも10都県で応急危険度判定が実施され、国土交通省の4月4日時点のまとめでは7万4293件を調査し、要注意1万7051件、危険9074件との判定を出した。なお、応急危険度判定の後に行う調査として、専門家が建築物内部に立ち入り、傾斜や沈下、構造躯体(くたい)の損傷などを調査して復旧の要否を判定する被災度区分判定がある。