宮城県石巻市の地域紙。「日日(ひび)新聞」と読む。2011年3月11日、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)とこれに伴う津波により編集・制作・印刷関連設備の機能を失ったが、翌12日から電気が復旧するまでの6日間、手書きの壁新聞を発行した。同年4月12日、アメリカのワシントンD.C.にあるニュースと報道の総合博物館「ニュージアム(Newseum)」は、この壁新聞のオリジナル版7点を入手し、歴史的な新聞の永久コレクションに加えることを発表した。同紙は1912(大正元)年の創業で、現在は8ページ建ての夕刊紙などを発行している。被災した夜、記者たちは難を逃れたロール紙を切り取り、懐中電灯などの明かりを頼りに油性ペンで地震の概要や被害状況などを書いて、避難所など6カ所に張り出した。現地入りした内外のメディアがこれを報じたが、3月21日付ワシントンポスト紙の記事でこれを知った博物館が日日新聞に連絡を取り、この寄贈が実現した。同館の学芸員はホームページ上で、「21世紀のあらゆる便利なツールや科学技術が失われ、自らも被災した厳しい困難の中で、このジャーナリストたちは地域社会に必要な情報を送り届けるという責務を、シンプルな紙とペンによりしっかりと果たした」と高く評価している。壁新聞は5月2日から同館の「タイム・ワーナー・ワールドニュースギャラリー」で展示されている。